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スーパーマンのコスチュームのルーツになった? めくるめくチャック・ノリス・ファクトの世界 [趣味]

 先日『ドン・チャック物語』についての記事を書いたが、チャックと聞いて誰もが最初に思いつくのがチャック・ノリスであろうと思う。私など以前海外ドラマの『CHUCK/チャック』のことを聞いて、チャック・ノリスの半生を描いたドキュメンタリーかと思ったほどだ。

 もちろん全然違う内容だったわけだが、それでも彼が有名なのに疑いはない。あまりに有名であろうから、彼の紹介は省くこととしよう。きっと必要ないだろうからであって、決して面倒くさいわけではない。

 有名人だけあって彼にまつわる逸話は多く、それらは総称して”チャック・ノリス・ファクト”として語り継がれている。そう、ファクトというからにはすべて事実なのだ。どれほど荒唐無稽に聞こえても、常識的論理的にありえない出来事に思えても、チャック・ノリスならばやってのける――そう信じる人々が語り継ぐチャック・ノリス・ファクトの世界。今回はそのほんの一端をご紹介しよう。
 訳はすべて私がつけたもので、拙訳なのはご容赦願いたい。


 Chuck Norris doesn't call the wrong number. You answer the wrong phone.
 チャック・ノリスは間違い電話をしない。間違うのは電話を取る方。

 彼は完璧である。万事に於いて完璧な彼がまさか間違い電話などしようはずはない。もし彼から覚えのない電話がかかってきても、彼を責めてはいけない。全ては彼が別の誰か宛にかけた電話を取ってしまった自分自身の責任であり、そんな場合にはちゃんと、ごめんなさい、取る電話を間違えましたと謝っておこう。たとえ買ったばかりの携帯にかかってきたとしても、である。


 Chuck Norris wore sunglasses to protect the sun from his intense gaze
 チャック・ノリスがサングラスをかけるのは、彼の強烈な視線から太陽を守るため。

 彼は守られる必要がない。むしろ森羅万象が彼の脅威から守られるべきであって、太陽さえその例外ではない。この数年太陽の活動が弱まっているのは、彼のお気に入りのサングラスが壊れたからなのかもしれない。


 Winners never quit, quitters never win, and people who never win and never quit are killed by Chuck Norris.
 勝者はけして諦めず、諦めた者が勝つことはない。そして一度も勝たず、一度も諦めない者はチャック・ノリスに殺される。

 論理学の教科書に載せるべき問題であろう。AでなければBでなく、BでなければAでない。すると、AでなくBでもない場合はどうなるのだろうか? 答えは簡単。チャック・ノリスが解決してくれる。


 Chuck Norris and Superman once fought each other on a bet. The loser had to start wearing his underwear on the outside of his pants.
 チャック・ノリスとスーパーマンは一度賭けをしたことがある。負けた方は今後、ズボンの上からパンツをはくという条件だった。

 お気に入りのファクトの一つである。ピンとこない方はスーパーマンの画像をググってみよう。フィクションのキャラクターであるスーパーマンを持ち出してくる奇抜さもさることながら、賭けの条件を説明するだけで結果までを仄めかしてくる組み立てに、もはや文学的価値さえ見いだせる逸品といえる。


 During vacation my front door's open and I left a note saying "This house is protected by Chuck Norris 3 days a week you guess which 3." All was good.
 バケーションの時、私は家のドアを開け放って「週三回チャック・ノリスが留守番にやってくる。どの日に来るのかは教えない」と書いた紙を貼っておいた。家の物はなにもかも無事だった。


 もうひとつお気に入りのファクトである。この張り紙はこの人が勝手に書いたものであって、チャック・ノリスが本当に家にいたわけではない。しかし彼を恐れて家に押し入らなかった悪漢どもにとって、チャック・ノリスは確かにその家に存在していたのだ。
 ご丁寧に週七日のうち四日は家がカラッポだと明言しているのに、それでも押し入るものはいなかった。彼に出くわして命を落とすことを恐れた悪漢どもの意識の上ではもはやチャック・ノリスが“いつ”家にいるのかということは何の意味もなさない。問題なのは彼が現れうることであった。週三日しか留守番をしていないはずのチャック・ノリスの存在確率は一週間のうちの七日全てに分散し、あまつさえ一日ごとの確率が薄まることはなく、あたかも毎日留守番にやってきているかのごとき存在感でもって悪漢どもを威圧している。
 さらには、この張り紙がそもそもデタラメなのであって、最初からチャック・ノリスは留守番などしていない。彼が本当に留守番をしているかどうかはもはや問題ではなく、彼が留守番をしていると宣言されることこそが問題になっている。ここに至りチャック・ノリスは個人を超越して概念となった。


 ここまで読めばある程度わかることと思うが、これらは基本的に全てジョークである。本人が言ったものでなくファンが勝手に考えているもので、チャック・ノリス自身の行動にかかわらず今も新たなファクトが創り出されている。
 ほとんどはソビエトロシアジョークに近いシンプルな関係性の入れ替えや荒唐無稽なナンセンスジョークが多いが、それだけにその手のジョークのパターンを吸収するにはもってこいの素材だといえるだろう。全盛期のイチロー伝説との類似点が見られるのも興味深い。

 先述の通り、ここに書いてあるものは全体のごく一部である。
 もっと読みたいという人がいるなら、単にチャック・ノリス・ファクトでググるだけでもウィキペディアページに日本語訳されたものが多く載っている。
 それでは満足できない、または英語の勉強に活かしたいという人は、Chucknorrisfacts.comにアクセスしてファクトを原文で読んでみるといいだろう。ページはすべて英語だが、投稿されたばかりの新鮮なファクトから過去の人気ファクトまで幅広く閲覧できる。チャック・ノリス・ファクトに溺れたい方はぜひどうぞ。


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