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イスラム過激派がイラクで内部分裂?ISIL(ISIS)とスンニ派の脆い繋がり [ニュース]

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共通の敵を持っているだけの二つの集団


今、イラクでは三国時代が始まり、イラク史上でも類を見ない騒乱の時代を迎えている。

イラクには現在、「イスラム過激派率いる反政府勢力」「クルド人勢力」「イラク政府」と言う3つの勢力が存在している。

(赤がイラク政府、灰色が反政府勢力、黄緑がクルド人勢力)
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その中で、この混乱を招いた武装勢力の思惑が一致せず、内部分裂の可能性が出てきた。

と言うのも、反政府軍の主力であるISILとそれを援護するスンニ派武装勢力は、単に「打倒マリキ首相のシーア派政権」で思惑が一致していると言うだけで、「イスラム原理主義国家の建設」が目的ではないからだ。

スンニ派政権は、現シーア派政権が気に入らないだけ。

一方で、ISILはイスラム教の理想を体現するために活動している。

そしてそのイスラム教の理想と言うのは、所謂「イスラム教での世界征服」とも呼べる思想であり、まともなイスラム教徒はそれに共感出来ず、

ISILと共闘してきた武装勢力は、「最終的にはISILに反発し、逆にISILに潰されている」

これはシリア内戦で実際に起こったことだ。

このようなISILと、スンニ派の関係は決して長続きはしない。


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スンニ派の目的


ISILの狙いや活動については、別の記事で説明しているが、勢力は外国人を含めたイスラム原理主義の過激派イスラム戦士の集団であり、祖国や民族ではなく、純粋にイスラムの為に戦っている連中だ。

しかし、スンニ派の事情は少し複雑だ。

スンニ派は、フセイン政権時代の支持母体であり、イラク戦争による敗北で急速に力を失った。

そして、米軍の統治時代に民主主義政権が誕生し、多数派であったシーア派と、フセイン政権に弾圧されてきたクルド人が政権を握ると、スンニ派の不遇の時代が始まる。

フセイン政権時代に、軍や政府で幅を聞かせていた人間は投獄され、戦争犯罪人として収監され、
それに反発し、反米の戦いを続けるために、多くのスンニ派イスラム教徒が武装勢力に加わり、一般人を殺傷するテロを起こし、テロリストとして政府に処刑されることになる。

次第にスンニ派=テロリスト言う構図ができはじめ、スンニ派の弾圧が深刻になる。

それが余計にスンニ派の反発を招き、次々にスンニ派の武装勢力が出来上がり、
ISILやアル・カイダに協力する様になった。

しかし、忘れてはいけないのは、彼らの願いはただひとつ。

自分たちの平和な生活だ。

彼らの殆どは、何もイスラム教の国家を建設したいなどとは思っていない。

ただ単に、シーア派に弾圧されず、自分たちが豊かな暮らしをするために戦っている。

厳格なイスラム教の戒律に従い、イスラムに従わない人間全てを打倒する為に戦っているのではない。


今は同じ敵を共有していても、敵が倒される直前、
二つの勢力は本来の目的のために新たな争いを始めるかもしれない。


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