クルド人、国家を持たない少数民族の台頭!群雄割拠のイラク情勢 [ニュース]
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クルド人自治区がイラクの都市を奪還?
ISIL(ISIS)の侵攻により、イラクの北西部の都市が次から次へと落とされている。
しかし、その一部地域(キルクーク県、等)を、さらに奪還した勢力がある。
クルド人自治区の治安部隊だ。
写真を見ていただけると分かるように、私服に武器を持っただけの民兵ではない。
彼らはイラク北部の3県(アルビール県、ドホーク県、スレイマニヤ県)を管理する主にクルド人で構成される正規の戦力。
士気や練度も高く、テロが多発するイラクでも彼らが自治を任されているエリアは極めて治安が良い。
治安が良いお陰で経済も発展し、他の地域と比べると住民は豊かな生活を送っている。
しかしながら、そんな頼もしい治安部隊が都市をテロリストから奪還してくれて良かった、とイラク政府は楽観できない。
なぜなら、彼らはイラクからの独立を望んでいるからだ。
独立を望む勢力が都市を制圧したと言うのは、独立の前段階と言っても過言ではない。
実際、彼らは油田を含むこれらの都市をイラク政府に返すつもりは無いと明言している。
これで事実上イラクは、
「イラク政府(正当な統治者)」、「ISIL(イスラム原理主義組織)」、「クルド人(少数民族)」の三者が領土を取り合う三国時代に突入した。
さらに、イラク政府支援する為に、隣国イランから特殊部隊も派遣されたらしい。
まさに群雄割拠の戦国時代だ。
どうしてこのような状況になってしまったのか・・・なぜ、クルド人は独立を望むのか。
それは、彼らの過去に原因があった。
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国家を持たないクルド人
彼らはイラクにおいて、40年以上前からこの地域の自治を許されてきた。
しかし、フセイン政権下ではそれほど大きな権限は無くむしろ迫害されていたほどだった。
そのため、イラク戦争時には米軍に対しても協力的で、フセイン政権の打倒に協力した。
そして、米軍が樹立したイラクの新政権では、今まで以上に多くの権限を与えられ、
イラクの大統領にクルド人(ジャラール・タラバーニ)が就任したこともある。
そんなイラク国内のクルド人だが、中東でクルド人が最も多く住む国は隣国トルコである。
トルコと言えば、EU・NATOに所属する中東の大国。
そのトルコは、クルド人の自治・独立を認めておらず、クルド人に対する人権侵害の疑いまである。
その情勢では、イラク政府も米国も、クルド人の独立を認めるわけには行かなかった。
なぜなら、クルド人の独立国ができれば、トルコ国内のクルド人が独立を求めたり、トルコを捨てて亡命する可能性もあり得るからだ。
しかし、国を持たない少数民族の中で最大の民族であるクルド人は、100年以上前から独立の戦いを続けてきた。
ソ連の支援を得てイランに作った独立国(マハーバード・クルディスタン共和国)も、たった一年でイランに滅ぼされ、大統領が処刑された。
それ以降も、トルコやイラン、シリアで戦いを繰り広げてきたクルド人。
そして、イラン・イラク戦争でクルド人の歴史の中でも最悪の惨劇が起こった。
化学兵器の使用、ハラブジャ事件
イラン・イラク戦争の際、イランがクルド人への支援を表明したため、
イラク国内のクルド人がイランの軍隊に協力するような場面があった。
そこで、フセイン政権は見せしめのために、化学兵器をハラブジャの住民に対して使用(1988年)した。
死傷者1万5千人の大規模な被害。
にも関わらず、当時の欧米諸国はイラクを支援していたため大きく報道されず、
クルド人の救いの声は届かなかった。
そうして、世界に見捨てられたクルド人の中で、更に独立の機運が高まってくる。
クルド人独立国建国の好機
湾岸戦争(1991年)、イラク戦争(2003年)を経て、ISILの侵攻。
イラクでは度々戦争が起き、その度にクルド人も被害を被ってきた。
過去の戦争は米軍が主導しており、
クルド人に入り込む余地は無く、その必要もなかった。
しかし、今回の紛争では、米軍は部隊を派遣するつもりはなく、
イラク政府直属の治安部隊は士気が過去最低にまで落ち込んでいて、頼りない。
ISILは過激なテロリストに過ぎず、戦車まで保有するクルド人治安部隊の敵ではない。
クルド人の支配地域を拡大し、「中東にクルド人の国を作る」と言う、
シリア・イラク・イラン・トルコのクルド人2000万人の悲願を達成する絶好の好機。
彼らが立ち上がるのは必然と言っても過言ではない。
混迷のイラクの中で、
クルド人が自身の国を作り上げる事が出来るのか、
それとも、再び歴史の狭間に消えてゆくのか・・・
イラクの行く末と共に、クルド人の今後に注視していきたい。
クルディスタン(クルド人の居住地域)
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しかし、その一部地域(キルクーク県、等)を、さらに奪還した勢力がある。
クルド人自治区の治安部隊だ。
写真を見ていただけると分かるように、私服に武器を持っただけの民兵ではない。
彼らはイラク北部の3県(アルビール県、ドホーク県、スレイマニヤ県)を管理する主にクルド人で構成される正規の戦力。
士気や練度も高く、テロが多発するイラクでも彼らが自治を任されているエリアは極めて治安が良い。
治安が良いお陰で経済も発展し、他の地域と比べると住民は豊かな生活を送っている。
しかしながら、そんな頼もしい治安部隊が都市をテロリストから奪還してくれて良かった、とイラク政府は楽観できない。
なぜなら、彼らはイラクからの独立を望んでいるからだ。
独立を望む勢力が都市を制圧したと言うのは、独立の前段階と言っても過言ではない。
実際、彼らは油田を含むこれらの都市をイラク政府に返すつもりは無いと明言している。
これで事実上イラクは、
「イラク政府(正当な統治者)」、「ISIL(イスラム原理主義組織)」、「クルド人(少数民族)」の三者が領土を取り合う三国時代に突入した。
さらに、イラク政府支援する為に、隣国イランから特殊部隊も派遣されたらしい。
まさに群雄割拠の戦国時代だ。
どうしてこのような状況になってしまったのか・・・なぜ、クルド人は独立を望むのか。
それは、彼らの過去に原因があった。
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国家を持たないクルド人
彼らはイラクにおいて、40年以上前からこの地域の自治を許されてきた。
しかし、フセイン政権下ではそれほど大きな権限は無くむしろ迫害されていたほどだった。
そのため、イラク戦争時には米軍に対しても協力的で、フセイン政権の打倒に協力した。
そして、米軍が樹立したイラクの新政権では、今まで以上に多くの権限を与えられ、
イラクの大統領にクルド人(ジャラール・タラバーニ)が就任したこともある。
そんなイラク国内のクルド人だが、中東でクルド人が最も多く住む国は隣国トルコである。
トルコと言えば、EU・NATOに所属する中東の大国。
そのトルコは、クルド人の自治・独立を認めておらず、クルド人に対する人権侵害の疑いまである。
その情勢では、イラク政府も米国も、クルド人の独立を認めるわけには行かなかった。
なぜなら、クルド人の独立国ができれば、トルコ国内のクルド人が独立を求めたり、トルコを捨てて亡命する可能性もあり得るからだ。
しかし、国を持たない少数民族の中で最大の民族であるクルド人は、100年以上前から独立の戦いを続けてきた。
ソ連の支援を得てイランに作った独立国(マハーバード・クルディスタン共和国)も、たった一年でイランに滅ぼされ、大統領が処刑された。
それ以降も、トルコやイラン、シリアで戦いを繰り広げてきたクルド人。
そして、イラン・イラク戦争でクルド人の歴史の中でも最悪の惨劇が起こった。
化学兵器の使用、ハラブジャ事件
イラン・イラク戦争の際、イランがクルド人への支援を表明したため、
イラク国内のクルド人がイランの軍隊に協力するような場面があった。
そこで、フセイン政権は見せしめのために、化学兵器をハラブジャの住民に対して使用(1988年)した。
死傷者1万5千人の大規模な被害。
にも関わらず、当時の欧米諸国はイラクを支援していたため大きく報道されず、
クルド人の救いの声は届かなかった。
そうして、世界に見捨てられたクルド人の中で、更に独立の機運が高まってくる。
クルド人独立国建国の好機
湾岸戦争(1991年)、イラク戦争(2003年)を経て、ISILの侵攻。
イラクでは度々戦争が起き、その度にクルド人も被害を被ってきた。
過去の戦争は米軍が主導しており、
クルド人に入り込む余地は無く、その必要もなかった。
しかし、今回の紛争では、米軍は部隊を派遣するつもりはなく、
イラク政府直属の治安部隊は士気が過去最低にまで落ち込んでいて、頼りない。
ISILは過激なテロリストに過ぎず、戦車まで保有するクルド人治安部隊の敵ではない。
クルド人の支配地域を拡大し、「中東にクルド人の国を作る」と言う、
シリア・イラク・イラン・トルコのクルド人2000万人の悲願を達成する絶好の好機。
彼らが立ち上がるのは必然と言っても過言ではない。
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